マヤ語が消滅の危機!?植民地化の影響で壊されていくマヤ語の文化。

公開日:2019年3月3日
     
   
   

こんにちは。

ごりぱちです。

僕たち夫婦は、グアテマラで“世界で最も美しい湖”と言われる”アティトラン湖”の”サンペドロ・ラ・ラグーナ”という街でスペイン語留学を3週間行いました。

▶︎【夫婦でスペイン語を学ぶ】グアテマラのサン・ペドロ・ラ・ラグーナでスペイン語留学!その実態を大公開!

グアテマラは、かの有名なマヤ文明発祥の地であり、その中でもアティトラン湖周辺は、今でもマヤの血を引く人たちが住んでいるということで、とても楽しみにしていた場所でした。

▶︎古代マヤ文明に関する15の事実 by カラパイア

▶︎5分でわかるマヤ文明!特徴や滅亡の謎についてわかりやすく解説 by honcierge

▶︎マヤ文明と終末論の真実 by national geographic

スペイン語留学中に、ホームステイ先のホストファミリーや、スペイン語の先生と、マヤ文明について色々会話をしていたのですが、そこで聞かされたのは、

「マヤ文明のことは誇りに思っていない人が多い。」

「マヤの言葉は役に立たない。」

「マヤの言葉はあと50年もしたら消え去るだろう」という数々の悲しいお話ばかり!!!

今回は、マヤの言葉のこと、植民地化の影響による言語消滅の危機など、現地の人と話したからこそ分かったことを書いていきます。

マヤ文明に興味がある方にとって、とても興味深いお話だと思います。

⬇︎マヤ文明についてはこの本。

⬇︎グアテマラの内戦についてはこの本。

では、レッツゴー!!!

マヤ語とは?

中南米に広大な領地を持っていたマヤ文明。

言語体系は、もちろん1つではなく、住んでいるエリアや民族によって、異なる言語体系を持っていたようです。

・マヤ語族 by wikipedia

学校の先生曰く、現在ある言語数は20種類以上とのこと。

僕たちがいるサンペドロ・ラ・ラグーナという街では、”トゥトゥヒル語/TZUTUJIL”が話されていました。

↓マヤ語のマップです。

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*もちろん、他の地域ではまた別の言葉が話されています。

アティトラン湖で話されていたマヤ語である”トゥトゥヒル語/TZUTUJIL”ですが、文字やら発音やら本当に難しすぎてビビりました。

文字体系、発音について少し紹介します。

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マヤ語の文字体系

マヤ語の文字は、基本的に象形文字のような形をしています。

色々な要素の文字を組み合わせて、一つの意味を持つ言葉を作り上げているようです。

↓僕たち夫婦の生年月日から占ってもらった“マヤ文字占い”です。意味は“道”だそうな。ゆるキャラみたいで可愛いですが、まじで読めません。

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↓占いの意味が気になる方はこちらをお読みください。笑

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↓時刻を表しているような文字盤もありました。

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これらを見ていてわかるように、非常にわかりづらい文字となっています。

ただ、街の人全員がこの文字を使いこなせるかというとそうではなく、アルファベット版の”トゥトゥヒル語/TZUTUJIL”が存在しており、普段はそちらを使っているようです。

元々のマヤ文字を使いこなせる人の数はどんどん減っており、文字を理解できる人は、50年後には言語学者だけになっているかもしれません。

↓マヤ文字についてはこちら!言語学者の方によって、とても分かりやすくまとめられています!
・マヤ文字 by 世界の文字

マヤ語の発音について

“トゥトゥヒル語/TZUTUJIL”の発音は、非常に難しいです。

日本人だけではなく、欧米の人にとっても難解な発音になっており、ホームステイ先で一緒だったドイツ人の方と何度もトライしましたが、発音は諦めることにしました。笑

今まで使ったこともないような音を出すので、ちょっと練習しただけで喉を痛める結果に。。。

↓貴重な生音です。”トゥトゥヒル語/TZUTUJIL”で電話しています。

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マヤ語の現状

現在、アティトラン湖の周辺の学校では、

・私立=英語 & スペイン語

・公立=スペイン語 & トゥトゥヒル語(アルファベット版のみ)

が教えられているようです。

世代別のおおよその言語ですが、

・60歳以上がトゥトゥヒル語(第一言語) & スペイン語(第二言語,日常会話程度)

・30-60歳がトゥトゥヒル語 & スペイン語(二つとも第一言語並みに話せる)

・30歳以下がスペイン語(第一言語) & 英語(第二言語) & トゥトゥヒル語(第三言語,日常会話程度)となっている感じです。

道を歩いていても、お年寄りはトゥトゥヒル語を、若者はスペイン語で会話をしており、常に2つの言語が耳に入ってきていました。

一般的に、アティトラン湖では3世代に渡って一緒に住むので、家庭内ではトゥトゥヒル語を使う頻度が高くなっているようです。

実際、僕たちのホストファミリーも、家族で話すときはトゥトゥヒル語を、僕らと話すときはスペイン語を使っていました。

ただ、家庭によっては、「スペイン語を話さないといい仕事に就けない!」という理由から、一切トゥトゥヒル語を使わない家庭もあるとのこと。

トゥトゥヒル語は、これまで家庭内で口頭によって受け継がれてきたのですが、「英語とスペイン語を習わせたい」と考える親が多くなるにつれて、口頭での言語伝承が行われなくなることが予想されます。

また、マヤ語のみを話していると、「低賃金の仕事」 or 「職に就けない」という厳しい現実が待ち受けているので、

親からすると「トゥトゥヒル語なんかいいから、スペイン語と英語をしなさい!」という気持ちになるのも分かります。

植民地化は、今でもマヤの文化を破壊している。

マヤ文明は、スペインの植民地化によって衰退し、どの街でもキリスト教が広まっており、スペイン語が公用語となっています。

マヤの宗教観は、「自然界に複数の神を持つ」という神道に近い宗教観を持っていましたが、その価値観はキリスト教にとって変わられました。

・マヤ神話  by wikipedia

そして、言語においては、先ほど述べたように、「マヤ語を話してもいい生活ができない」という理由から、スペイン語 & 英語の習得が優先的になっています。

そして、植民地化の最も恐ろしいところは、元々持っていた自分たちの文化を誇りに思えなくなる点です。

実際、現地の方に話を聞いても「マヤ文明のことはあんまり知らないし、誇りに思ってもいない。マヤ人だからって、差別を受けるし、マヤ語を話すと田舎者扱いされる。」というように、マヤ文明のことを誇りに思っている方は非常に少ないのです。

マヤ文明は、「数字の0」という概念や、20進法を生み出したり、ピラミッドを作ったりと、現代にも通じる素晴らしい技術を持っていたのですが、スペイン人によって記録は全て破棄されてしまったと言われています。

・マヤ文明の発明について

世界から注目されているマヤ文明のはずなのに、現地の人からすると「歴史もよくわからない、生活を貧しくするただの厄介者」という認識をされてしまっているのです。

現地の人の話を聞いていると、「植民地化に対する怒り」が沸き起こってきました。

異質のものを排除し、「全ては自分が正しい」という判断から、全てを壊し、現代まで負のサイクルが途切れない植民地化の歴史は、本当に恐ろしく、なぜ中南米の発達が遅いのかも、なんとなく分かるような気がしました。

ちなみに、スペイン語の先生曰く、「僕は子供時代に、スペインの植民地化によってマヤ文明が滅びたことを授業で習っていない。そもそも歴史の授業からマヤ文明については記述されていなかった。インターネットのおかげで、調べようと思えば色々調べられる世の中になっているが、スペイン系の高所得層によって、僕たちの事実は歪められているんだ」とのことでした。

これが本当のことなら、恐ろしすぎます。

しかしながら、実際にマヤ文明のことを知っている現地の人があんまり多くないことを知ると、意外と嘘でもないのかも。。。

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マヤ語(トゥトゥヒル語)の将来

スペイン語をメインに話している世代が親世代になったとき、トゥトゥヒル語は急速に衰退するでしょう。

50年後、100年後には、マヤ語の大半はなくなっているかもしれません。

少なからず、言語を保護する活動も増えてきているようですが、話者数は圧倒的に減っていくでしょう。

資本主義の世界で、高い収入を得るために言語選択をするのは仕方がないことですが、「偉大な文明であるマヤ文明に誇りも持てず、役立たずな言語として葬られるのは、めちゃめちゃ悲しいことだ」って、心の底から思えます。

また、”アンティグア”や”グアテマラシティー”といった、少し都会の街からは「アティトランって、マヤ語使ってるんでしょ!?めっちゃ未開の土地じゃん!」と実際に思われているので、そういった周りからの評判も、トゥトゥヒル語の消失に拍車をかけることになるでしょう。

生きている間に、またアティトラン湖に来たいと思っていますが、その時までに、トゥトゥヒル語が無くなっていないことを心から祈ります。

⬇︎マヤ文明についてはこの本。

⬇︎グアテマラの内戦についてはこの本。

では、今回はここまでです。

最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

また次回お会いしましょう。

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