こんにちは!
ごりぱちです。
現在、Teach For Japanの9期フェロー候補生として、2021年4月から常勤講師として教育現場に立つための研修の真っ最中です。
▶︎Teach For Japanのフェローシッププログラム
▶︎「講師」と「教諭」ってどう違うの?~「講師」という働き方~
▶︎NPO法人と教育委員会・学校連携による、代替教員免許状の活用事例について
Teach For Japanに参加する中で、「Teach For Japanの知名度がまだあんまりない。」「どんな人たちが参加しているのか分からない。」という声をもらったので、Teach For Japanへ参加しているメンバーをブログで紹介しています。
今回ご紹介するのは、会社を辞め、通信で教員免許を取得中の田中雅巳さんです!
教育分野に関心を持った理由、Teach For Japanで実現したいこと、将来のビジョンなど、様々なトピックを熱く語ってもらいました!
Teach For Japanに興味がある方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです!
では、レッツゴー!!!
⬇︎Teach For Japan創設者である松田さんの熱い思いについて知ることができます。
⬇︎日本の公教育が抱える課題について簡潔にまとめてあります。
田中雅巳さんはこんな人

人生のビジョン
「この世に生を受けた意味をワクワクしながら探し続けよう!」
「人生なんでもあり!」
希望職種:中学校英語
【これまで経験】
・高校2年次に1年間カナダへ留学
・大学で国際政治学を専攻
・機械メーカーの人事(人材育成)を4年担当
教育分野へ関心を持ったきっかけ
Q. どんなきっかけで教育へ関心を持つようになったのですか?
私は大学卒業後、とあるグローバル機械メーカーの人事部で4年間働いていました。
両親の教育の影響もあり、「自分のためだけではなく、周りの人のために何ができるのか?」を幼い時から考える習慣がついていたため、気候変動や環境問題に真正面から取組む従業員を支える「人事」として働くことに、とても誇りを感じていました。
人事の中でも、人材育成に関わる業務をたくさん任せてもらい、特に入社1年目から4年間担当させてもらった新入社員研修では、1ヶ月強という短い期間にもかかわらず日々成長していく新入社員の姿を見られて、自分ごとのように嬉しく感じられましたね。
しかし一方で、一企業の人事として働くことに悩みもありました。。。
とてもドライな言い方をすると、会社における人事の役割は、「事業に貢献する優秀な人材を育成すること」であり、究極は「次期社長を発掘、育成すること」です。社会人になると自己責任なので、自己研鑽も人に言われてするものではありません。業務上の責任者は「上司」になるので、人事が上司のマネジメント力強化のために支援することはあっても、直接社員教育に関わる場面はとても限られているのです。
また、人事は立場上、会社が掲げる経営理念や求める人材像を前提に施策を企画するので、決められた枠の中で「人の成長」を考えざるを得ないという葛藤があったのも事実です。
そして、営業やサービス・エンジニアが世界各地の現場で日々汗を流し、工場では技術者が24時間体制で製造を続ける中、私は入社した時からメーカーでありながらモノがない本社ビルで働き、会ったこともなければ、どこでどんな働きをされているかもよく分からない社員の評価する自身の働き方に素直に誇りを持てませんでした。本社人事という会社にとって極めて重要な役割を任せてもらっていることに感謝しつつも、「自分の存在価値って何なんだろう?」「今の仕事は“高貴”すぎて身の丈に合わない。自分がやるなんておこがましい。」と悩むことが多くありました。
自分で意味づけするほかないことに悩みつつも、私が人事に誇りを持って働けたのは、やはり新入社員研修の存在のおかげです。
研修中は業務の性格上、長時間労働になりがちで、それに加えて新入社員の体調不良や提出物の未提出などで突発業務に追われる日々でしたが、彼らがいろんな壁にぶつかりながらも一歩ずつ成長していく姿を見られて、どんな疲れも吹っ飛んでいきました。彼らの配属発表に立ち会う時は、いつも研修部屋の一番後ろから親鳥の気持ちで“巣立つ”彼らをじっと見ていました。こんなにも人間味溢れる仕事ができて、最高に幸せな時間を過ごせました。
この経験を通じ、「自分を通じて、変化し、成長していく姿を見ること」のやりがいに気づいたものの、1ヶ月強の限られた期間且つ400名ほどの新入社員がいる環境では、一人一人に関われる時間は僅かで、しかも研修後は配属先上司が彼らの育成に責任を持つため、ここでも人事が入り込む余地に限界を感じていました。
「会社の発展のためだけでなく社会全体の発展を担う、根っこの部分に関わりたい。もっと小さい単位で長い間、責任を持って関わる人の成長を後押ししたい。」
こう思った時、頭に浮かんだのが学校教育でした。
人事という仕事を通じて学校現場で働くことに興味を持った私が、さらに強く教員になる気持ちを固めることになったのは、企画した研修で呼んだ、とある外部講師の方のこんな言葉です。
「みなさんは、自分の人生のハンドルを握れていますか?」
「仕事を通じて、自分の意志とは異なる環境に飲み込まれてしまい、自分を見失いがちな今の社会で、自分を持てていますか?」
この質問を聞いた時、私自身が自分のハンドルを握れていると思うことはできませんでした。
これからの時代、あまりの変化の速さに先行きを見通すことが困難で、誰1人として正解を指し示すことはできません。
だからこそ、確たる軸を持ち、自分の人生のハンドルを握れる人材が求められる中で、「教員として、生徒が自分の人生のハンドルを見つける時期に関わっていきたい」と思うようになり、教員を志すことにしました。
英語の教員を選んだ理由
Q. なぜ教員になろうと思ったのですか?
私は高校生の時に、1年間カナダへ留学にいきました。留学先では、同じ高校生にも関わらず、政治や自分たちのアイデンティティーについて、臆することなく、自分の意見を素直に表現する環境に触れることができ、カナダで吸収した全てが人生のターニングポイントになりました。
帰国後は、カナダでの経験から政治学を勉強したいと思い、大学へ進学。在学中は、国際政治学のゼミを専攻し、アルバイトでは英会話講師として働いたり、3年次には頭をリフレッシュするためワーホリで1年間オーストラリアに行き、現地校の日本語教師(アシスタント)をしていましたね。海外生活が良い息抜きとなり、新たな刺激もたくさん吸収できたことで、残りの大学生活も思い残すことなく充実した時間を過ごせました!
その後、会社勤めを経て、現在のTeach For Japanのフェロー候補生に至るわけですが、高校生の頃の留学体験がなければ、今の私はありえなかったと本気で思っています。
なぜ、高校生の頃にカナダへ留学することになったかというと、中学二年生の頃の英語の先生の存在抜きには語れません。
中学1年生の頃、英語の先生との相性が悪かった私は、英語がそこまで好きではありませんでした。しかし、中学2年生の時に赴任してきた新しい英語の先生(担任の先生)との出会いによって、私の人生は変わりました。
その先生は、発音がめちゃくちゃ綺麗で授業内容も素晴らしかったのですが、それよりも「先生と生徒」ではなく、「人と人」という態度で対等に接してくれて、それがものすごく嬉しいことでした。その先生の人間的魅力に引き込まれ、それから英語もどんどん好きになり、英語の成績はグングン伸びました。
「この先生なら信頼できる!この先生から学びたい!」そんな気持ちから、英語の授業は積極的に取り組みました。
この先生との出会いがなければ、私の人生はどうなっていたか分かりません。
本当にかけがえのない出会いをもらって、心から感謝しています。先生にから受けた恩を今度は自分の生徒たちに返していき、1人でも多くの生徒たちの人生に良い影響を与えられるようになりたいな先生になりたいです。
Q. なぜ英語の教員を選んだのですか?
英語が使えると、人生の選択肢が格段に増えるからです。
誤解を恐れずに言うと、実際私もカナダに留学したことで、大学受験や大学生活、就職活動など、あらゆる場面でチャンスを獲得することができました。
実際、企業の中には、TOEICのスコアを採用時の応募条件に設定したり、社内での昇進要件として設けていることがあります。「英語力と仕事の業務遂行能力は別物では?」という指摘があると思いますが、私は「英語ができない=スタート地点にすら立てない」と思っています。
一昔前までの「英語ができるメリット」が、今では「英語ができないデメリット」に変わってきていると認識しています。
もちろん、経済状況などもあり、全員が留学に行けるわけではありません。ですが、グローバル化が進む今、英語と接する機会は必ずどこかであるでしょう。それは、洋楽や海外ドラマなどのようにプレイベートかもしれなければ、仕事上仕方がない場合かもしれません。いずれの状況でも、英語を抵抗なくポジティブに捉えられるかどうかは、学校での教員の腕にかかっています。
私は、英語教員として、英語が人生を豊かにする魅力について、しっかり原体験を伝えていきたいと思っています。自分の人生をカードゲームだとしたら、英語はゲームを優位に進めるための強力な切り札(いわゆるジョーカー)です。
だからこそ、私は教員として英語を教えたいと思いました。
Teach For Japanを選んだ理由

Q. 教育関連の団体はたくさんありますが、その中からTeach For Japanを選んだ理由はなんですか?
私が教員を志した時、Teach For Japanのことは認知しておらず、「会社を辞めて、通信課程で教員免許を取り、教員を目指す!」という道を考えていました。
そのイメージ通り、会社を辞めた翌月、通信での勉学に励んでいたところ、たまたまTeach For Japanの存在を知りました。
Teach For Japanについて調べていくと、「すべての子どもが、素晴らしい教育を受けることができる世界の実現を目指します。」というビジョンを知り、私はそのビジョンに強く共感し、さらに興味を持つようになりました。
そして、何よりも魅力的だったのが、教育に対する熱意とビジョンがあれば、教員免許がなくても赴任前に研修を受ければ臨時任用免許が発行され、2-3年間学校現場で常勤講師として働ける制度の存在でした。
▶︎NPO法人と教育委員会・学校連携による、代替教員免許状の活用事例について
「社会から距離を置いて、これから二年間通信の勉強だけをしていたら、これまでの企業経験が錆び付いてしまうかもしれない!今すぐ現場に行けるチャンスがあるなら、行くしかないだろう!」と考え、Teach For Japanへ応募することにしました。
教員として、精一杯努力し、成果を出し、Teach For Japanのビジョンを体現する一つの成功例になりたいですね!
教育課題について
Q. どんな教育課題に関心がありますか?
ミクロで感じる教育課題
家庭による教育格差問題に関心があります。
Teach For Japanが掲げる「すべての子どもが、素晴らしい教育を受けることができる世界の実現を目指します。」というビジョンは、非常に素晴らしいと思います。
ただ、それが難しいのが実態です。
全ての子供たちが、教育に理解のある両親のもとに生まれることができればいいですが、子供は親を選ぶことができません。例えば、「東大生の親の世帯年収は54.8パーセントが年収950万円以上」という報道が流れたように、経済格差が教育格差につながることも否めません。
私は育った家庭や与えてもらった教育が“たまたま”恵まれていただけだと思っています。きれいごとかもしれませんが、だからこそ、私は教員として、今まで受けてきた恩を返していきたいと思っています。
マクロで感じる教育課題
「モノからコトへ」と言われて久しいですが、高度経済成長のようにきっちりマニュアル(ある種の正解)を作り、オペレーション通りに動ける人材が求められるような時代は終わり、これからは自分で考えて実行できる人材が求められる社会になってきています。実際、前職で人材育成を担当していた時は「経験学習」の考え方を、とりわけ若手社員に対して強調して伝えていました。「会社が『正解』を提示できない時代になった」という会社のメッセージです。
これは私個人の仮説ですが、これまで日本では伝統的な日本型雇用システムの中で、終身雇用を前提に新卒一括採用、階層別研修や計画的配置転換といった、(ある程度)一律的な人材育成を通じて従業員の雇用確保と成長を実現してきました。しかし、近年は企業の中には通年採用やジョブ型雇用の導入があり、他方で経済産業省から「人生100年時代の社会人基礎力」が示されたり、文部科学省の学習指導要領に「キャリア教育」が明記されたことからも、これまで企業が担ってきた人材育成機能を学校教育が担う流れにシフトしていると考えています。
その意味でも、社会に出る前の学生時代は、自分の足腰を鍛え、自立/自律する準備をする貴重に時間だと思います。した個々人でなければ、自分のやりたいことができないのです。教員にとってもチャレンジングですが、前職で担当させてもらった人材育成の経験を活かして、生徒の将来の選択肢を広げられるように目の前の生徒たちはもちろんですが、周りの教員にも積極的に働きかけたいと思います。
Teach For Japanに対する感想
Q. Teach For Japanでの研修が始まって3ヶ月程度たちましたが、今の率直な感想を教えてください。
Teach For Japanに入る前まで、「教員の労働条件は過酷」「日本の教育は暗記型」など、ネガティブなイメージを強く持っていましたが、Teach For Japanに入ったことで「日本の教育をより良くしたいと思っている人たちがこんなにもたくさんいるのか!」と前向きに考えるようになりました。
教育に対する明確なビジョンや課題感を持ち、日々切磋琢磨して頑張っている教員の方や同期と出会えたことで、日本の教育の未来に希望を持つことができ、非常にいい刺激をもらっています。
また、研修を通じて、Teach For Japanの希少性も知ることができました。
通信課程ではなかなか触れることができない、「学習指導要領の作成経緯」「日本国憲法における教育のあり方」「教育基本法における教員のあり方」などについて、多岐にわたるトピックについて高い視座で現場経験も交えながら学ぶ機会が豊富にあります。
また、社会のチェンジメーカーとして活躍するために必要な「専門性」「人格」「実行力」にいった能力を、様々な研修を通じて育成してくれています。
それが、Teach For Japanが他と差別化できている大きなポイントだと感じています。
Teach For Japanに向いている人
Q. Teach For Japanにはどんな人が向いていると思いますか?
教育に対して当事者意識を持ち、主体的に行動できる人が向いていますし、求められていると思います。評論家として教育を語るだけに留まらず、実際現場に身を置き、思い(意図)を持って生徒や周囲の関係者に働きかけられる人が求められているのです。
一方で、私たちは新参者です。
赴任する学校にはこれまでの独自の歩みがあり、そこで従事される教職員のみなさんのこれまでの努力やが今を創り上げています。新参者だからこそ気づける新たな視点を大切にしながらも、学校を営んできた方々の判断や気持ちへの尊重を忘れず、個別最適ではなく学校全体を考えた全体最適の視座で、様々な人を巻き込みながら現場の課題解決のために行動し貢献したいと思います。
2-3年という限られた期間で結果を出すことも念頭に、自分の発言や行動に責任を持ち、主体的に動き続けられる方は、Teach For Japanには向いていると思いますよ!
キャリアについて

Q. 教員としてのキャリアへの不安はありませんか?
「キャリア(人生全般)は他人ではなく、自分が主体的に作り上げていく物語だ」と思っています。
確かに、前職と比べて教員の労働条件はよくないかもしれませんが、私の場合「お金は結果」だと思っているので、それならば自分の興味や関心に沿って真っ直ぐ突き進む人生を送りたいです。
キャリア構築(仕事面)についてですが、私は、クルンボルツ教授の「計画された偶発性理論」を大事にしています。
▶︎【事例付き】計画された偶発性理論とは?超カンタンにまとめました【クランボルツ教授】
⬇︎クルンボルツ教授の理論が詰まったオススメの一冊です。
人によっては、計画的にキャリアを掴みにいく人もいますが、私の場合は走りながらキャリアを創る人生を送るのだろうなと感じています。
その時々の置かれている環境や人との出会い、仕事内容を大切にしながら人生の選択を考えていきたいと思います。
実際、教員として働くという選択も、前職での仕事や人との関わりの中で見つけられたもので、一切計画していませんでした。
2年後のキャリアは決めていません。ただ、今後も学校現場で働けるように、教員免許取得の勉強をしたり、また学校でのキャリア教育を支援するために国家資格 キャリアコンサルタントの取得に向けて講座に通っているので、学校教育に関連する仕事をしているのだろうとボンヤリ想像しています。
「キャリアは100%意のままにコントロールできない。8割は偶然の出来事によって決定されている」という理論のように、自分の好奇心に従って偶然の出来事をキャリアの機会と捉えて、道を切り拓いていきたいですね!
教員の役割について
Q. オンラインで簡単に良質な学習コンテンツにアクセスできる今、教員として求められる役割はなんだと思いますか?
「田中雅巳の授業を受けるメリットは何か?」という自身の付加価値を常に考え実行することが重要だと感じています。
デジタルネイティブの生徒であれば、分かりやすく英文法が解説された動画や記事をネットで調べて自己学習することは十分にできるでしょう。私より教えることが上手い先生も、Youtubeを探せばごまんとヒットするでしょう。
オンライン学習が当たり前の現在だからこそ、生徒を一律に学校へ集めて、同じ空間で授業をすることで提供できる価値とは何か、をトライアンドエラーで実践していきたいと思います。
まとめ
びっくりするくらい真面目で、謙虚で、素直で、心が綺麗な田中さんと話していると、僕の邪悪な心がどんどん浄化され、「なんて素敵な人間なんだろう。」と、心から尊敬することができました。
「田中さんが英語の先生だったら良かったのに!」とインタビューしながら何回も思ってしまいました。笑
それだけ、人として魅力的な田中さん、今後の活躍に目が離せません!
では、今回はここまで!
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!
では、また次回お会いしましょう!
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⬇︎Teach For Japan創設者である松田さんの熱い思いについて知ることができます。
⬇︎日本の公教育が抱える課題について簡潔にまとめてあります。