こんにちは!
ごりぱちです。
現在、Teach For Japanの9期フェロー候補生として、2021年4月から常勤講師として教育現場に立つための研修の真っ最中です。
▶︎Teach For Japanのフェローシッププログラム
▶︎「講師」と「教諭」ってどう違うの?~「講師」という働き方~
▶︎NPO法人と教育委員会・学校連携による、代替教員免許状の活用事例について
Teach For Japanに参加する中で、「Teach For Japanの知名度がまだあんまりない。」「どんな人たちが参加しているのか分からない。」という声をもらったので、Teach For Japanへ参加しているメンバーをブログで紹介しています。
今回ご紹介するのは、匿名希望のXさんです!
*社会人3年目。中高の英語の教員免許あり。
教育分野に関心を持った理由や、海外と日本の生活で感じた学校環境の違いなど、様々なトピックを語ってもらいました!
Teach For Japanに興味がある方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです!
では、レッツゴー!!!
⬇︎Teach For Japan創設者である松田さんの熱い思いについて知ることができます。
⬇︎日本の公教育が抱える課題について簡潔にまとめてあります。
教育分野へ関心を持ったきっかけ
Q. どんなきっかけで教育へ関心を持つようになったのですか?
改めて考えると、私は教育に興味を持つ以上に、人に興味があるのだと思います。
特に、環境が人に与える影響、成長や変化といった部分に対する関心が強いです。
自分と相手との関わりの中で、相手が変わっていくプロセスが非常に面白いと感じています。
私が「人に興味がある」と自覚できたのは、大学生の頃に1年間ドイツへ交換留学している時でした。
現地の友人と旅行をした際に、様々な人たちとの交流を通じて、感情を揺さぶられるような経験をすることで、私自身が大きく変化しました。
自分自身が変化した経験をもとに、人が変わっていくプロセスに興味を持ち始めたのだと思います。
また、私は小学生の時に1年間スイスの現地学校に行っていたのですが、日本に帰国した際に、スイスで感じた自由な空気とは全く違う、がんじがらめの日本の教育を目の当たりにし、生きづらさを感じました。
そういった経験も、私が教育に興味を持つようになった大きな理由だと思います。
Teach For Japanを選んだ理由
Q. 教育関連の団体はたくさんありますが、その中からTeach For Japanを選んだ理由はなんですか?
Teach For Japanに関しては、大学3年生の時から知っていました。
大学にポスターが貼ってあり、存在は知っていたのですが、その時は「大変そうだなあ」くらいで気にも留めていませんでした。笑
そんな私が、大学卒業、社会人経験を通じてTeach For Japanを受けた理由は、「私の小さい頃からの夢を追ってみたい!」と思えたことがきっかけでした。
先ほど申し上げたように。私は小学5年生から6年生の頃にかけて、スイスの現地学校に通っていました。
その時の学校環境が大好きで、それから私は「スイスで教員になりたい!」という夢を持つようになりました。
小学生で持ち始めたその夢は、中学3年生になっても変わりませんでした。
そんな私は、中学3年生の時の進路選択の際に、親と塾の先生がいる前で、「将来は学校の先生になりたい!」と言ったのです。
すると、塾の先生からは「小学校の先生はいろんな指導があるし、親との関係構築も大変だし、あんまりオススメしないよ!」と言われ、「あー、やめた方がいいのかあ。」と思い始めました。
そして、その思いを持ちつつも、教員免許が取れる大学へ進学しました。
「小学校の教員は難しいから無しだけど、中高ならどうだろう?」ということで、大学では中高の英語の免許を取得しました。
心の片隅には、ずっと教育に関する関心がありつづけたので、とりあえず教員免許を取っておいた形ですね。
そんな私が、大学卒業後に教員にならず、就職すること決定づけた事件が、大学生の時に起こりました。
とある実習で、特別支援学校に行った時です。
その時の実習の先生がこんなことを言っていました。
「日本の学校教育は、労働者を作るための教育だから」
この言葉を聞くまで、「99%教師にならないかもだけど、1%は教員になるかも!」と思っていた私ですが、この言葉を聞いた途端「100%教員にならない!」と思うようになりました。
ただ、教育には関心が残り続けたので、教育関連の企業へ就職しました。
ただ、そこでいろいろあり、今後のキャリアについてとある先輩に相談したところ、こんなことを言われました。
「話を聞いていると、君は海外で学校の先生になろうと思っていたんだろう?今はもういいの?」
そこから、私が小さい頃にいつの間にか諦めてしまっていた夢について思い出し、海外で教員になる方法を片っ端から探していた時、Teach For Japanのアルムナイの方を見つけ、「よし!私もTeach For Japanから世界に羽ばたくぞ!」という心意気で、Teach For Japanに参加することを決意しました。
教員を目指した理由
Q. そもそも、なぜ教員を目指したのですか?
スイスの教育環境は、私にすごく合っていました。
日本のように、規律重視といった重い空気は存在せず、とにかく自由にやらせてくれました。
スイスの学校へ行った当時の私は、公用語であるドイツ語が全くわからず、「トイレはどこですか?」と聴けるのみの状態でした。
ドイツ語の「こんにちは」すら知らなかったのです。
それでも、スイスの学校は私を受け入れてくれ、とっても素晴らしい1年を過ごすことができました。
その反面、日本に帰国した際に、スイスで感じた自由な空気とは全く違う、がんじがらめの日本の教育を目の当たりにし、生きづらさを感じました。
言語は通じるはずなのに、なぜか生きづらいのです。
そんな経験から、私は「スイスに戻りたい!スイスで働くなら何がしたいだろう?」と考え、その答えが「教員」でした。
そこから私は、漠然と教員として働くことをイメージし始めました。
スイスと日本の教育の違い
Q. スイスと日本で教育を受けた経験から、どんな違いを感じましたか?
スイスにおいて、私は一斉授業を受けた記憶がありません。
基本的に、生徒の自主性に任せるような教育でした。
例えば、算数の授業ですが、日本のように、先生が一方的に多数の生徒に対して教えることはしません。
教室内にプリントがあり、先生からどのプリントから解くのか記してあるリストをもらい、そのリストに沿って課題をやっていきます。
早く進めたい子は早く進め、遅く進めたい子は遅く進めていました。
私にとって、それはものすごくありがたいことでした。
スイスの算数は、日本と比較して2-3年ほど遅れているので、もし日本のように一斉授業をさせられていたら、退屈でしかたなかったでしょう。
しかし、個々人で課題を進められたので、算数を早く終わらせ、その分ドイツ語の習得に時間を割くことができました。
また、教室の雰囲気もすごく自由でした。
教室の中にはソファがあり、読書の時間にはどこに座ってもよく、思い思いの時間を過ごすことができました。
日本のように、決められた場所に座るのではなく、先生に一斉に向かうのではなく、本当に自由に授業を受けることができました。
今思い返せば、イエナプランのような雰囲気でしたね。
▶︎オランダで普及している「イエナプラン」教育から学ぶ、21世紀にふさわしい全人教育の形
とにかく、自由で、ゆとりのある学校だったと思います。
スイスの学校でそれが実現できていたのは、カリキュラムの内容だけではなく、教員側にもゆとりがあったからだと思います。
スイスの友達から聞いた話だと、スイスの学校の先生は、1年間のうちに13週間も休みを取ることができます。
その期間を使って、さらに知見を広めたり、能力開発を行っているのです。
また、学習指導要領のように「6年生では、○○まで教えなさい」といったルールはなく、先生一人一人の裁量が非常に大きいので、思い思いの授業を展開することができます。
また、子育て中の女性の場合、「50%の量で働きたい!」と主張すれば、他の50%分は他の職員が埋めることが当たり前になっており、非常に働きやすい環境が整っています。
スイスの教員の自由さに関する象徴的な話ですが、私のクラスの担任は、「アフリカ行きたい!」と宣言し、教員をいったん辞めて、アフリカで2年ほど仕事をしていました。
こんな先生、日本ではなかなかいないと思います。
そんな経験をもとに、日本に帰国した時は、そのギャップにとにかくショックを受けました。
日本の校則には、数え切れないほどのルールがあり、なぜそれを守る必要があるのかさえ曖昧で、なぜそんなルールが存在しているのかも分かりませんでした。
「みんなと同じじゃないといけない!」という圧迫感のある空気を感じ、「なんか嫌だなあ」と感じたことを今でも覚えています。
日本の教育現場が抱える課題
Q. スイスと日本を比較した時、日本の教育現場にはどんな課題があると思いますか?
日本は、マイノリティ、特に外国人児童に対するサポートがあまりにも欠落しています。
私は現在、外国人児童のボランティア団体に所属し、学習支援を続けているのですが、「これはどうなんだろう?」と思うような場面に遭遇することがあります。
例えば、学校側が保護者に対して重要な説明をする際に、日本語が一切話せない親子に対して、通訳を一切つけずに説明するなど、外国人を軽く扱う雰囲気を感じました。
なぜ私が「マイノリティの支援」に強い思いをもっているかというと、スイスにいた際に、私自身がマイノリティとしての経験をしたことも大きいです。
日本に比べたら手厚い支援が受けられていたとはいえ、学校では全く言語が分からない中で、心細い思いをしましたし、それでストレスを抱えて人に当たってしまったこともありました。
しかし、この経験は今の私にとって財産です。
自分がマイノリティとして苦しんだからこそ、マイノリティや弱い立場に置かれた人たちに共感するようになり、彼らのエンパワーメントに関わりたい、という気持ちを持つようになったのだと思います。
日本の教育現場が抱えるこの課題を、どうにかしたいと思っています。
Teach For Japanに対する感想
Q. Teach For Japanでの研修が始まって3ヶ月程度たちましたが、今の率直な感想を教えてください。
Teach For Japanの研修やコミュニティは、本当に価値があると思います。
私は大学の教職課程を取っていたものの、指導案の書き方を詳しく習ったことはありませんでした。
しかし、Teach For Japanの研修を通じて、かなり細かく書き方を学ぶことができました。
指導案だけでなく、憲法や法律など、多岐にわたる内容を学ぶことができ、本当に充実しています。
この研修を受けずに、学校現場へ出ることを想像すると、非常に怖いですね。。。
また、多様なバックグランドを持つ人と接することができるコミュニティに所属できているのもありがたいです。
教育に情熱を持つ人たちと繋がれることで、現場で辛いことがあってもお互いに支え合える関係性を持つことができ、本当に心強いと思えています。
Teach For Japanを勧めたい人
Q. どんな人にTeach For Japanを勧めたいですか?
研修担当の職員の方も言っていましたが、この組織は、「一丸ではあるが、一様ではない」ので、教育に関心がある人は、どんな人でも大丈だと思います。
多様な人が集まることが、日本の教育のためにもなるとも信じています。
また、周りの人との関係を崩さず、思っていることを素直に伝えられる能力があると、コミュニティを最大限活用できると思います。
私も、そんな能力が欲しいです!笑
教員の役割について
Q. オンラインで簡単に良質な学習コンテンツにアクセスできる今、教員として求められる役割はなんだと思いますか?
教員が持つ大事な役割は、2つあると思っています。
1つ目は、子供たちを肯定することです。
子供がどんなことをしたとしても、肯定し続け、自己肯定感を育むことが必要だと思います。
自己肯定感は、努力をするためにエンジンです。
自己肯定感を身につけさせることで、子供たちの自発性を育てることができます。
2つ目は、子供同士が肯定し合える環境を作ることです。
「いろんな違いを持つ子供がいてもいいんだよ。その違いが面白いんだよ。」という思いを伝え続け、子供たちがそれをきちんと理解できるようなサポートが必要です。
それが、マイノリティを受け入れるためにも必要なことだと信じています。
まとめ
スイスやドイツといった、日本とは全く違った環境での教育現場を知っているXさんの意見は非常に鋭く、勉強になることばかりでした!
教育現場が抱える課題が明確になっているからこそ、不安に思っている部分もあるようですが、Xさんなら、必ず自分の思いをやり遂げられると、僕は強く信じています。
Xさんが経験してきた多様な世界観を武器に、日本の子供たちに素晴らしい時間を提供して欲しいですね!
では、今回はここまで!
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!
では、また次回お会いしましょう!
[email-subscribers-form id=”1″]*Teach For Japanのフェローに興味がある方は、連絡をいただければ可能な限り知りたいことを共有したいと思うので遠慮なくご連絡ください!
⬇︎Teach For Japan創設者である松田さんの熱い思いについて知ることができます。
⬇︎日本の公教育が抱える課題について簡潔にまとめてあります。