こんにちは。
ごりぱちです。
遺伝子解析技術はどんどん進化していき、最近では「自宅で遺伝子解析ができる日も近い!」と言われるようになってきました。
遺伝子情報は、医学的に重要なデータであり、自宅で遺伝子データを取得できるようになれば、医療のスタイルも大きく変わってくると思われます。
今回は、以前勤めていたバイオ系の会社の時に発見した、「自宅で遺伝子解析が可能になる」プロダクトをご紹介しようと思います!
では、最先端テクノロジーの紹介へ、レッツゴー!!!
↓「遺伝子とは?」という人は、こちらをチェックしてください!
・遺伝子とは? by みんなのバイオ学園
遺伝子解析の簡単な流れ
遺伝子解析をするためには、大まかに以下のステップを踏む必要があります。
① DNAの抽出
② DNAの増幅
③ DNAのデータ解析
通常、この3つの行程は、ラボでしかできません。
なぜなら、それぞれ専門的なキットや機械が必要だからです。
それぞれ、必要なキットや機械、コストを説明します。
① DNAの抽出
例えば、髪の毛からDNAを抽出しようとすると、以下のキットと機械が必要になります。
・DNA抽出キット(1検体あたり150-200円)
・ピペット(1本3-4万円)
・遠心分離機(1台50-60万円)
・VORTEX(1台5-10万円)
・その他試薬
etc…
このように、必要な機械だけで、100万円は必要となります。
とても家庭ではできません。
② DNAの増幅
DNAのデータを解析するためには、DNA抽出直後の量だと不十分なので、DNAの増幅が必要となります。
DNAを増幅するときには、以下のキットと機械が必要になります。
・PCR(DNA増幅)用の試薬
・PCR機(1台40-50万円)
・ピペット(1本3-4万円)
etc…
このように、DNAの増幅も、機械だけで数十万かかるため、家庭では到底できません。
③ DNAのデータ解析
さて、DNAの増幅が終わると、次にDNAの塩基配列データを読み取らなければなりません。
この、DNAの塩基配列データの読み取りが、最も費用がかかります。
・”シーケンサー”DNAの塩基配列データの読み取る機械(1台200万円~)
・”シーケンサー”用の試薬(1つ10万円~)
・ピペット(1本3-4万円)
etc…
DNAの抽出や、増幅とは比べ物にならないくらいの費用が必要となります。
“シーケンサー”と呼ばれる機械で読み取ったデータは、パソコンの解析ソフトで処理されます。
パソコンは、”基本的に持っている”と想定するので、ここでは費用に追加しません。
総合費用
ここまでの行程を振り返ると、現時点で、DNAの解析をするためには、合計でも300万円以上の機械を揃えないといけないことがわかります。
この金額を見ると、「家庭で遺伝子解析ができるわけがないじゃないか!」と思いますよね?
でも、時代は変わってきているのです。
Bento Lab
このBento Labというのは、10万円以下で、①DNAの抽出 ②DNAの増幅ができちゃう機械なんです!
Bento Labの発売しているキットは、ポータブル用に設計されており、リュックに入れてどこにでも持ち歩けるという特徴があります!
見てみないと分からないと思いますので、このビデオをご覧ください。
現在、このキットはプレオーダー中ですが、学校教育に用いられることを目的としています。
ただ、金額的にも、大きさ的にも、家で使える可能性は、従来の方法と比べて、グッと高まりました!
ガジェット系メディアのTechCrunchにも2016年に紹介されています。
・Bento Labは、個人で遺伝子分析ができるDIYキット by Tech Crunch
Nanopore Technology
さて、Bento Labによって、①DNAの抽出 ②DNAの増幅が家庭でも可能になりそうですが、③DNAのデータ解析はどうでしょうか?
数百万円は解析設備として必要なのに、それが家庭でも可能になるのでしょうか?
実は、これもなりそうなのです。
イギリスのオックスフォード大学からスピンアウトしたNanopore Technologyという会社が、ポータブルシーケンサーなるものを開発したのです。
スターターパックは、$1,000(約10万円)で購入でき、従来のシーケンサーと比較しても、その費用は1/10以下にまで抑えられています。
こちらも、まずはビデオをご覧ください。
めちゃくちゃ簡単そうですよね!
こんな手軽に、シーケンシングができる時代になりました。
医療の未来
ここまで紹介した、Bento Lab と Nanopore Technologyによって、先ほどの3つのステップを、ポータブルで行うことができる可能性が見えてきました。
また、トータルでかかる費用も、従来の数百万円から、20万円程度にまで抑えることも可能になってきました。
今後、さらにコストが下がることが予想される中、あと5年、10年後には、1万円以下のキットや機械で、毎日自分の遺伝情報を取得するのが当たり前になっているかもしれません。
ここで、従来の医療世界と、僕が想像する近未来の医療世界を簡単に書いていこうと思います。
従来の医療世界
体調が悪いと感じたら、とりあえず温度計で体温を計り、微熱があると、病院に行く。
病院に行くと、たくさんの人が待合室にごった返しており、自分の診察まで1時間は待たなければならない。
そして、診察は5分の問診で終了。
いくつか風邪薬を処方され、病院で会計後に薬局へ向かう。
薬局では、病院で記入したプロフィールや症状を再度記入し、調剤を待ち、やっと購入。
処方された薬を飲むものの、状態がよくなっているのかは、よく分からない。
再発したら、また病院に行き、長い待ち時間と格闘する。。。
近未来の医療世界
朝起きると、いつものように、自分の唾液をシーケンサーにかけ、口内微生物の状態から、健康度合いをチェックする。
自分のプロフィールデータや、医療履歴、日々の遺伝子データは、自動的にクラウド上に蓄積され、オンライン上の医師へデータが送信される。
日々のデータから異常が見つかると、自動的に薬が処方され、30分後には自宅に薬が届いている。
処方された薬を飲んでから、日々の健康スコアが少しづつ改善されていることが、毎朝見るデータによって明確に分かる。
まとめ
医療世界のテクノロジーはどんどん発達しており、5年後、10年後には、どんな世界になっているのかは想像もできません。
ただ、ゲノムデータは、今後の医療世界では最も重要になると考えられており、ゲノムデータをいかに簡単に取得できるかは、すこぶる大事な課題となっています。
先ほど紹介したBento Lab 、Nanopore Technologyのような、誰もが気軽に遺伝子解析ができるプロダクトを生み出す会社は、今後さらに増えると思います。
ただ、この2つの登場が与えるインパクトはとても大きく、近い未来、当たり前のように自宅で遺伝子解析ができるようになるのだと感じました。
今回は、僕が注目したバイオテクノロジーの会社を紹介してみました!
気になった方は、是非ともHPや動画などを見ながら、未来の医療について想像してみてください!
けっこう、楽しそうな未来が見えると思いますよ!
では、今回はここまで!
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!
また次回お会いしましょう!